僕は音楽はもとより、ミュージシャンの人生や、音楽の背景にある歴史に最も興味を惹かれます。
その曲を作ったときの歴史的背景や、音楽センスと人物像との関係を知ることは、音楽をより楽しめるきっかけになります。
数あるブラックミュージックの中で、メッセージ性という意味で、音に歴史的背景が最も色濃く出ているジャンルは、ブルースとファンクじゃないでしょうか。
ブルースの中でも特に1930年頃のデルタブルースには、黒人差別、奴隷制度などの背景を汲んだ悲痛な叫びを感じます。
さて、前置きが長くなりましたが、今日はデルタブルースの巨人ROBERT JOHNSON
です。
彼は最高のブルースマンになるため、クロスロードで悪魔に魂を売ったと云われており、才能と引き換えに8年の寿命を悪魔に引き渡したという伝説は有名です。
叫ぶように鳴り響くブルースギターと、彼のうめくような歌い方は南部アメリカの乾ききった荒野を思い起こさせます。
彼の歌には、当時の厳しい生活と、現実逃避した楽観的な部分が混在しており、デルタブルース独特の魅力が存分に味わえます。
それにしたってボトルネック奏法 のギターが巧い!! 感動します。
南部アメリカへの一人旅には必携の一枚です。
P.S.
映画『オー・ブラザー!
』にROBERT JOHNSON
のモデルが登場します。登場シーンは、ミシシッピ洲デルタの交差点(クロスロード)。
彼は“白人の悪魔に魂を売った”と言い、名前をトミー・ジョンソン(※)と名乗っていました。この辺のセンスはさすがコーエン兄弟 。
※トミー・ジョンソンと同姓同名のブルースシンガー も実在しましたが、多分作品ではROBERT JOHNSON を意識してるでしょう。